The TTABlog(John L. Welch) 2009年3月25日記事

「ウォルマート」が「スマイリー・フェイス」の商標紛争で「ルフラーニ」に勝利

有名なマーク「スマイリー・フェイス」を巡る長く続いてきた「商標紛争」は、ウォルマートがフランクリン・ルフラーニ(Smileyworld社)に勝利するという形で終了した。 下記画像の左側、「SMILEYの文字とデザイン」のマーク(ルフラーニの出願)に対するウォルマートの異議が認められ、画像右側のウォルマートのマークに対するルフラーニの異議が却下された。「異議番号は91150278、91154632、91152145」 (2009年3月20日) 。

ルフラーニはこの「SMILEYの文字とデザイン」のマークをセクション1(b)に基づいて(まだ使用していないが、使用する意思があるという理由)「動物用化粧品から蚊帳、フェリー・ボート・電車・陸上・航空での輸送」に関する23種類の分類の「何百種類もの商品と役務」において登録を試みた。 彼は「表示通りのマークと切り離してスマイリー・フェイスのみを使用する権利」については放棄していた。

ウォルマートはまず2001年に1件の出願に対して異議を申し立て、次に2003年には違う観点の主張から別のマークにも異議を提出した。
彼等の主張は次の通り:(1)ルフラーニのマークは普遍的なイメージであり、マークとしての機能を有していない。(2)もしこのマークが商標として機能するとしたら、ウォルマートの方が先行して使用している上実績に基づく独自性も有しており、ルフラーニのマークはウォルマートのものと混同を生じる可能性がある。

2002年、ウォルマートは自分達のマーク(黄色い色彩あり)を「小売サービス」の分類で出願した。ルフラーニはその出願に対して「このマークは商標の機能を一切満たしていない」との主張で異議を申し立てている。これら3件の異議は途中で統合された。

優先権:特許庁はまず優先権について触れ、ウォルマートに対して彼等の慣習的なマークが本質的に、或いは実績に基づく独自性を持つが故に識別性があるということを示すべきであると指摘した。
そして、「スマイリー・フェイス」デザインは「普遍的であり、本質的に識別性のあるデザインではない」という両者の主張に同意した。
そうなると問題はウォルマートの「実績に基づく独自性」を得た日がルフラーニの優先出願日(ルフラーニの出願日)である1997年6月3日より先かどうかということになる。特許庁はこのように述べている:「我々が既にスマイリー・フェイスは現代アメリカ社会で一般的なものだと断定したことを考えると、優先権については判断が出来ない」

ウォルマートは、このマークを1996年1月から使い始め、テレビのゴールデン・タイムやケーブル・テレビでのCM等の宣伝の為に「実に多大な」金額を支払ったことを証明した。そこには「ルフラーニの出願日以前の短い期間」も含まれていた。

特許庁は「同じようなスマイリー・フェイスのデザインを他の小売店が広く使用している例はほとんどない」として、「スマイリー・フェイスを自身の小売サービスにおいてこれ程の規模で使用し、宣伝してきたのであるから、ウォルマートのマークは出願人の優先出願日よりも先に小売業での二次的重要性を獲得した」と結論付けた。

ルフラーニのマークの識別性:識別性に関する問題については、ルフラーニのマークの全体を考慮する必要があった。特許庁は「我々は通常、使用意思に基づく出願の場合、“SMILEY”の文字が本質的に識別性がないと判断することには抵抗がある」としたが、証拠によって「SMILEY」の文字は「このシンボルの名前として広く使用されている」ことが示された。

(以下、審決文より引用)
従って、消費者がルフラーニのマークを目にした場合、そのマークが「普遍的で識別性のないシンボルと、そのシンボルに広く使われている名前」で構成されている為に、彼等はマーク全体を単なる飾りだと判断するであろう。この結論は決して回避出来ない。

これにより特許庁はルフラーニのマークに識別性がないとするウォルマートの異議を認めた。

混同の可能性:ルフラーニの指定商品と役務にはウォルマートの小売店で販売されている数多くの商品が含まれている。両者のマークでの「わずかな違い」は「注目に値しない」とされた。

ルフラーニは「デザインはマークとして機能しない為、混同の可能性は意味をなさない」と主張した。しかしルフラーニが出願からデザインのみを使用する権利を放棄しているからといって、セクション2(d)の審査(混同の可能性に関する条文)から除外される訳ではない。更に、文字「SMILEY」がデザインを説明しているが、消費者がマークを識別するのにこの文字に頼るとは考えにくい。

その結果特許庁は、ルフラーニの出願における多くの分類(23分類のうち17分類)の指定商品と役務で混同が生じ得るとした。(勿論、識別性がないという判断は全ての分類に該当する)

(以下、審決文より引用)
付け加えるに、この珍しい異議は、両者共に「普遍的である」と認めたシンボルに関する似た異議を提示している。審査では、「混同の可能性についての詳細、即ち僅少かもしくは多大か」と「使用の影響の証拠となる既成の事実」に関係する最近の2件のデュポン社(米国の化学会社)の事件(判例集177の567参照)における判断も考慮した。 ルフラーニは事実上、ウォルマートの店舗で実際に販売されている、或いは小売店で販売されると考えられるような多数の指定商品でマークを登録しようと試みている。 この事実を考えると、ルフラーニのマークが競争相手によって、よく似たマークをハウス・ブランドとして店舗全体の何百もの商品で使用している小売店で使用された場合、混同の可能性がより大きくなる。そのような状況下では、混同が生じ得るという可能性について疑いの余地はないと思われる。

「結論」 これにより、ルフラーニ氏のスマイリー・フェイスの登録はアメリカで存在しなくなり、今後の登録も不可能になった。
「権威」 The TTABlogは、米国知的財産法の最高権威者Welch弁護士の有名ブログです。